トーキョークラブ
東京の夜は、キラキラしている。
高層ビル群の間をすり抜けていく車のライトを見つめながら、ワタシはゆっくり息を吐いて空を見上げた。
今夜はいつにも増して、三日月が大きく見えるような気がする。
「すみません、待たせちゃって。もしかしてずっと外で待ってた?」
風と共に漂う滝川さんの匂いにワタシはドキッとしながら、携帯電話をカバンの中に入れた。
「いえ、大丈夫です!」
「ほんと?寒くなかった?」
「全然寒くなかったですよ」
むしろ、滝川さんのことばかりを考えていたから暑いくらい。
頬が火照って、胸がドキドキする。
「じゃあ、行こっか」
「はいっ」
滝川さんは爽やかにはにかんで、ワタシのことを車までエスコートしてくれた。