トーキョークラブ
正直、あの日以来あたしと洋介の間にも微妙な空気が流れていて。
あまり喋らなくなっていた。
というか、あたしがちょっと避けていたような部分もある。
「オレ、こうやってツアーの初日が無事始められて良かったと思う。正直潤とはどうなるか分からなかったから…」
洋介は少し歩くスピードを落として、前を行く潤と夕貴、山池さんを見つめていた。
「響子も無理してたでしょ?オレってまだまだガキみてぇだよなー」
苦笑いをして
洋介は少し濁った青空を見上げた。
「ううん、無理なんてしてないよ。まぁ洋介が子供っぽいてことは認めるけどね~」
「おい、認めんのかよっ!」
「認めるよ!だって子供じゃーん」
久しぶりに洋介とじゃれ合いながら、渋谷の街を練り歩く。
そんなあたしと洋介を、潤も久しぶりに笑いながらからかって。初めてのツアーは出だし好調、だった。