トーキョークラブ
しばらくの沈黙にオレは焦ったが、望美がオレの手をぎゅっと握ったので、まず驚いた。
「アタシ、本当にリョウと一緒になってもいいの?」
望美は目を潤ませて、じっとオレのことを見つめた。
なんだか捨て猫でも拾ってきたみたいだ。白くて細くて、ちょっと震えながらオレのことを見つめる。
オレは、もう決めた。
望美のことを守ってやろうって、勝手にだけど決めた。
望美の死を望む人間なんていない。
愛情というものを知らない望美のことを、まぁ、オレだって本気の恋は初めてだけど、愛してやりたいって思った。
「いいに決まってるだろ」
オレは望美に笑顔を向けて、それから一気にビールを飲み干した。
我ながら、恥ずかしかった。