トーキョークラブ





「言いたいことっつーか、聞きたいことなんすけど」



道也は中指のシルバーリングを抜き差ししながらオレに目を合わせる。





「望美って子、知ってます?」



何故かよく分からないが、オレはその道也の質問に心臓を射抜かれたような、そんなおかしな感覚に陥った。


心臓が、波打っている。




「……何だよ、急に。その女がどうかした?」


気付かれないように苦笑する。
道也はまだ、オレのことを見つめている。



「リョウさんがつるんでた、美希って女。望美の姉らしいんすけど、さっき凄い剣幕でABCに来て、望美はどこだって騒いでて」


「美希が?」


「病院がどうとか、金がどうとか騒いでたんすけど…。リョウさん、その望美って子知ってますか?」





< 139 / 176 >

この作品をシェア

pagetop