トーキョークラブ





あのあと、佳世に付いて行った僕が案内されたのはキャンバスの貯蔵庫だった。



細長い部屋は木材と油絵の具、有機溶剤などの入り交じった匂いに包まれていて、換気扇の音がやけにうるさかった。


ここは、油絵科3年の専用貯蔵庫。



ということは、佳世は3年生なのか。そうすると僕と同学年ってわけだ。





「あ、ここに置いてくれる?このスペースは全部わたしのだから」


「へぇ~。ずいぶん描くんだね」


「何言ってるの。家にはもっとあるよ。これでも同じクラスの中では少ない方なの。上手い子は倍以上描いてる」




ざっと見て佳世のスペースに納められている絵は20枚。これでも少ないというのだから驚きだ。



僕はそこに21枚目のキャンバスを入れて、小さく息を吐いた。






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