トーキョークラブ





それはそれは、甘い時間だった。



ワタシと滝川さんはまだ出会ってから間もないけれど、これまで以上にない接近をして、ワタシはすごく嬉しかった。


もっと彼のことが好きになった。




“成り行き”という言葉で片付けたくはないけれど、その後ワタシと滝川さんは恋人同士となった。


順番はだいぶ変わってしまったのだが。







「わ、わざわざ家までありがとう」



スズメのさえずりが響く、よく晴れた朝にワタシと滝川さんは別れた。


「今日は撮影だっけ?頑張ってね」


「ありがとう。それじゃあ…」



シートベルトを外してドアノブに手を掛けると、滝川さんは名残惜しそうにワタシの手を握った。


そして、ワタシの唇を軽くふさいだ。



ふわりと香る滝川さんの匂い。
また心臓がうるさくなる。



「じゃあ、またね」


「うん、バイバイ」




滝川さんの車が見えなくなるまで、ワタシの頬はすごく熱かった。






< 150 / 176 >

この作品をシェア

pagetop