トーキョークラブ
それはそれは、甘い時間だった。
ワタシと滝川さんはまだ出会ってから間もないけれど、これまで以上にない接近をして、ワタシはすごく嬉しかった。
もっと彼のことが好きになった。
“成り行き”という言葉で片付けたくはないけれど、その後ワタシと滝川さんは恋人同士となった。
順番はだいぶ変わってしまったのだが。
「わ、わざわざ家までありがとう」
スズメのさえずりが響く、よく晴れた朝にワタシと滝川さんは別れた。
「今日は撮影だっけ?頑張ってね」
「ありがとう。それじゃあ…」
シートベルトを外してドアノブに手を掛けると、滝川さんは名残惜しそうにワタシの手を握った。
そして、ワタシの唇を軽くふさいだ。
ふわりと香る滝川さんの匂い。
また心臓がうるさくなる。
「じゃあ、またね」
「うん、バイバイ」
滝川さんの車が見えなくなるまで、ワタシの頬はすごく熱かった。