トーキョークラブ
────都内某所の撮影スタジオ。
Richly Jewelの12月号表紙と巻頭特集を8ページもピンで飾ることになったワタシは、何百というフラッシュを浴びていた。
「姫乃ちゃん、なんだか幸せそうね」
「そっ、そうですか?」
「うん。なになに?恋でもしてるの?」
メイクさんにからかわれて、ついつい口を滑らせそうになったけどなんとか誤魔化した。
1日目にしてのろけるのは
考えものだ。
それにしても
今日の化粧ノリは抜群だ。
「姫乃ちゃん、いいよ!かわいい!」
テンションの高いカメラマンからは、どんどん降り注ぐような褒め言葉の雨。
くるくると回りながらポーズをとって、キメ顔をしたり微笑んだり、はしゃぐように笑ったりもする。
意外と簡単そうで難しいものだ。