トーキョークラブ





「千秋ちゃん入りまーす」



スタッフさんの声が聞こえたのは、ワタシが次の衣装に着替えているときだった。


千鳥格子柄のトレンチコートに、チュチュ調のミニスカートをふわふわと揺らしながら入ってきたのは、千秋だ。



千秋とワタシは同期のモデルで、“双子モデル”なんて呼ばれている。


ベージュ系のつやつやとした巻き髪はワタシと同じ美容師さんがスタイリングしたヘアスタイルで、ワタシの姫系巻き髪とよく似ている。



顔立ちもどことなく似ていて
体型もほとんど同じ。


世間が“双子モデル”と呼ぶのも分からなくはない。





「千秋、おはよう」


ワタシは着替えたばかりのカシミヤニットのワンピースに、パールとゴールドの3連ネックレスを合わせながら千秋に笑顔を向けた。



「もう夕方の4時よ、姫ちゃん」


「えっ、もうそんな時間なんだ」




千秋はトレンチコートを脱ぐと、マネージャーに渡して鏡の前に座った。






< 152 / 176 >

この作品をシェア

pagetop