トーキョークラブ
千秋は、なんというか、カリスマ的なオーラをいつも放っている。
客観的に見ると、八方美人なワタシに比べて千秋はプライドの高い、つんけんとしたお嬢様タイプ。
千秋のその少々きつい性格に傷つくこともしばしばあったが、ワタシは千秋を嫌いになることはなかった。
千秋の言うことはいつも的を得ていて、核心を突くようであるからだ。
絶対に自分を曲げない。
そんな千秋が、本当は優しい心の持ち主だってことをワタシは知っている。
「表紙と巻頭、任せてもらったんだってね」
メイクさんにアイシャドウを塗られながら、千秋はワタシにそう言った。
「ありがたいことにね。でも、千秋には敵わないなぁ」
「別にいいわよ、敵おうが適わないだろうが。私たち、争ってるわけじゃないでしょう?」
「あぁ、うん、そうだね」
千秋はベージュピンクのチークをほんのり頬に色付けると、スッと立ち上がってカメラマンの元へ向かった。
ワタシはその後ろに
ひょこひょことついて行く。