トーキョークラブ
さすがにこの時間ともなると、表参道は賑わいを失う。
デキ上がった、裕福そうなおじ様たちが笑いながら歩いている。これから歌舞伎町にでも行くのだろうか。
「はぁ…」
メイクが崩れていないか鏡で確認したあと、私はため息をついた。
一体いつまで
この関係は続くのだろう?
そう考えていたのだが、終わりが見えないような気がしてため息が漏れた。
パッパーッ。
大きなクラクションの音がして、なんとなくその方向を見た私は驚いた。
少し紫がかった光沢のあるセダンから、弘人が顔をひょっこり出したのだ。
私はすぐさま駆け寄った。
「こっ、この車どうしたの?めちゃくちゃ高そうだけど…」
開いた窓に顔を寄せて弘人にそう聞くと、得意気に彼は笑った。
「先週買ったんだ。まぁ、前々から車は買う予定だったし、嫁も許してくれたから」
乗るように催促された私は、まだ新しい革の匂いがする助手席に滑り込んだ。
驚くほどに高級感のある車だ。