トーキョークラブ
「何か隠してるとしても、今の結衣じゃ何も話してくれないと思う。そっとしておいてほしいっていうサインなのかな」
「サイン……」
小坂は意味深につぶやいて、俺は小坂のことをちらっと見た。
「そのサイン、早く解けるといいですね。私結衣さんのファンだし」
小坂はそう言いながら微笑み、俺はその笑顔に少し心を奪われそうになりながら苦笑した。
それから俺達はなんだかんだで3次会までやって、解散した。
ずっと開いていなかった携帯電話を終電の中で見たが、毎日来るはずの結衣からのメールは1件も来ていなかった。
俺は数えきれないほどのため息を、1日で吐いた。
それだけ幸せが減ったってことか。