トーキョークラブ
渋谷、札幌、仙台、新潟の4公演を終えた後、同時に並行しているシェルターズのライブの対バンに参加する。
新潟から東京に帰ってきて2日で、次は秋田へと向かう。
秋田はTHE EIGHTYsメンバー全員の生まれ故郷だということもあり、車内でのみんなのテンションはすごく高かった。
久しぶりに実家に帰れるということもあり、あたしも心を踊らせていた。
「おまえら、やっと秋田に来たか!」
秋田市内のライブハウスに着き、楽器搬入などをしていると、ものすごく懐かしい声がした。
「オッサン!!」
「オッサンとはなんだ。所沢サマと呼べガキども」
懐かしい笑顔に、懐かしいやりとり。
変わらないヘアスタイルであるソフトモヒカンを赤く染めている、このライブハウスの店長、所沢さん。
所沢さんにはあたしたち4人がバンドを結成した当時からお世話になっていて、高校生のあたしたちをとても可愛がってくれた。
初めてのライブをしたのも
ここ、CLUB A.C.T.だったのだ。
「響子ちゃん、すっかりあきたこまちになっちまったなぁ」
「そうかな?あたし、大人の女に見えてる?」
ベースを肩に掛けながら、PA卓の近くで照明をいじる所沢さんにニヤリと笑ってみせる。
「そういうところはお子様だなぁ」と所沢さんは大口を開いて笑った。