トーキョークラブ
その後、今井さんが急用で帰ったあとにも、ワタシはmihiroさんとデザインについて話し合った。
彼女のあっさりとした性格がワタシには好みで、メールアドレスまで交換した。
10歳近くも年上の彼女だけど、話し込むと分かるように、全く年の差を感じさせない、友達のような雰囲気。
ワタシたちはだいぶ遅くまで、語らった。
「今日は、ありがとうございました」
「あっ、いえ、こちらこそ!」
日も暮れてやっと事務所を出るとき、ワタシは滝川さんに見送られることとなった。
「失礼かもしれないんですけど…。滝川さんがCAREに所属してるって、なんだか珍しいですね」
落差の長いエレベーターに2人。
思ったよりも大きく響いた声に、ワタシは驚きながらも滝川さんの横顔を見る。
「ハハッ、珍しいかぁ。ま、そうですよね。でも今は意外と、女性ブランドで男のプレスってのもいるんですけどね」
「へぇ~。ワタシ全然知らなくて…」
「気にしなくていいっすよ!でも本当に俺、姫乃さんとコラボ企画ができて嬉しいです。ファンだったので」
くっきりとした二重まぶたの彼。
ニコッとはにかんだ滝川さんにそう言われて、ワタシは今まで誰かに言われた中でもとりわけ嬉しく感じた。