トーキョークラブ
潤との間に、気まずい空気が流れてしばらくして、もやもやとした雰囲気は潤によって断ち切られた。
「今の響子には受け入れられないかもしれないんだけど…。俺は、響子とだけは離れたくないって思うんだ」
あたしは、はっとして
潤に目を合わせた。
「響子だけを呼んだ理由だよ」
潤はそう言って、あたしにペーパーナプキンを手渡した。
無言で目頭をおさえると
涙がじわりと紙に滲み、あたしはゆっくりとため息をついた。
「じゃあ、他のメンバーはどうするの?納得すると思う?」
潤は、グラスの氷をいじりながら、あたしから目をそらして唸った。
「響子は、一生この4人で食ってく自信ある?メジャーデビューできるって、本気で思ってるの?」
「それは…分からないけど…。でも、インディーズまで来れたじゃない」
「インディーズからメジャーに上り詰めるまでは今までとは違うんだよ。インディーズまで行ってもメジャーデビューできないのが、大抵のオチだ」
あたしは、何も言い返せなかった。