トーキョークラブ
数日後。
美希の妹のことが
なぜかオレの胸に引っ掛かっていた。
美希はただの遊びの女にしか過ぎず、互いのことなんて何も話してこなかったのに、なぜ妹の話をしたのか。
なぜ、あんなにも妹の存在を否定するのか、オレには気掛かりだった。
「リョウさん、聞きましたよ!ミックスアルバム出すらしいじゃないっすか」
渋谷、いつものクラブ。
女と話していると、中学時代の後輩であり、最近よくつるんでいる道也に肩を組まれた。
「誰から聞いたんだよ」
「オーナーとリョウさんの話してるときに。これでイベントとか、オファー増えるんじゃないすか?」
「ああ。だといいけどな」
道也と笑いながら、滑り込むようにしてバーカウンターへともたれる。
顔見知りのバーテンダーは、オレが口を開く前に、リキュール入りの特製カクテルを差し出した。
「いつものです」
「ハハッ、ありがとう」
オレがそれを受け取り、飲もうとしたときだった。