トーキョークラブ





それにしても、あの女。



前にもどこかで
会ったことがある気がする。




肩ほどの黒髪に、細すぎる身体。



今までに遊んだ女か?
いや、それは違う気がするし…。






「うぜーな…」



なぜか気になってしまう自分に舌打ちをしながら、用を足してまた道也の元へと戻ろうとした、そのとき。




突然、オレの腕を誰かが
背後から掴んだ。



驚いて振り返ると、そこにはなんと、さっきカウンターで泣いていた女が立っていた。





「DJのリョウだよね?」


目を赤らめたまま
彼女は、声を震わせている。




「そうだけど…。誰、お前?」


「……ねぇ、アタシのこと、買ってくれない?」


「はっ?」




彼女は、ワケも分からないことを言い出してオレの腕を引っ張った。



その瞬間、オレは彼女から
キスをされた。







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