トーキョークラブ
達彦は、空の写真家になりたいと、入学前から言っていた。
僕のように、マルチな写真家になりたいと思っている学生がほとんどの学科内でも、そんな達彦は浮いている。
言うならば
みんなが達彦の夢を
諦めているということだ。
写真家というのは、狭き門で。
自称写真家ならいくらでもいるが、本当に世界を股にかけて、仕事として写真を撮ることは難しい。
だから、多くの学生は
何でも撮るマルチフォトグラファーなどを目指すのだ。
空だけを撮る写真家は、まずそれだけで生計を立てることが難しい。
それでも夢を諦めていない達彦を、僕は尊敬しているし。
みんなのように、彼を
呆れた目で見たりはしない。むしろ彼の夢を応援している。