トーキョークラブ





「俺さぁ、実はこの前、知り合いからいい写真家を教えてもらったんだ」


「へぇ。日本人?」




暗室から出て
2人で休憩室で缶コーヒーを飲む。


ほっと息をつくと、達彦は、麻素材のリュックから1冊の写真集を取り出し、満足げな表情で僕に渡した。





「九野清二。自然を愛する写真家で、それはもう、ずば抜けた才能だよ」




僕は、その写真集を見て
度肝を抜かれた。





九野清二。



それは、僕も会ったことのない、写真家である父親の名前であった。







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