トーキョークラブ
数時間後。
空も明るくなってきて、やっと飲み会もお開きとなり
あたしは、バンドでギターをしている潤と2人で家路についた。
カラスがゴミを漁る、下北沢の裏路地。
潤とあたしのアパートは近所のため、しょっちゅう一緒に帰る。
潤はあたしの良き理解者だ。
「彼氏、この前雑誌に載ってたよ。四天王なんだってね」
潤がにやけながらそう言って
あたしの顔を覗き込んだ。
「アハハ。四天王ね~。なんか遠い存在になってくよ、あの人」
「向こうからしたら響子だってそうだろ、たぶん。大変だな、忙しいカップルってのは」
「なんかムカツクんですけど!」
アルコールで火照った頬を赤らめながら、2人で馬鹿笑いして歩く。
午前5時過ぎ。
渋谷からの始発電車で帰って来ても、さすが若者の街。
あたしと潤のように
まだまだはしゃいで喋り歩く同世代たちが、下北沢の路地にたむろしていた。