トーキョークラブ






数時間後。



空も明るくなってきて、やっと飲み会もお開きとなり
あたしは、バンドでギターをしている潤と2人で家路についた。




カラスがゴミを漁る、下北沢の裏路地。


潤とあたしのアパートは近所のため、しょっちゅう一緒に帰る。

潤はあたしの良き理解者だ。





「彼氏、この前雑誌に載ってたよ。四天王なんだってね」


潤がにやけながらそう言って
あたしの顔を覗き込んだ。



「アハハ。四天王ね~。なんか遠い存在になってくよ、あの人」


「向こうからしたら響子だってそうだろ、たぶん。大変だな、忙しいカップルってのは」


「なんかムカツクんですけど!」



アルコールで火照った頬を赤らめながら、2人で馬鹿笑いして歩く。




午前5時過ぎ。

渋谷からの始発電車で帰って来ても、さすが若者の街。


あたしと潤のように
まだまだはしゃいで喋り歩く同世代たちが、下北沢の路地にたむろしていた。






< 7 / 176 >

この作品をシェア

pagetop