トーキョークラブ
数分後、本当にやって来た彼は、光沢のある黒の4WD車に乗っていた。
「姫乃さん、待たせちゃってすいません。事前に言っておけばよかったかな」
彼は、そうはにかんで
助手席のドアをさりげなく開けた。
「いえ、とんでもないです」
ワタシはためらいながらも助手席に乗り、小さく会釈をした。
清潔感のある車内は、滝川さんの香水の匂いがほんのりとする。
「姫乃さん、ちゃんと大学行ってるんだね」
「そ、そりゃあ行ってますよ!」
「いやぁ、だって大変じゃない?今じゃ人気モデルなんだし」
「まぁ…大変なこともあるんですけどね」
滝川さんが運転するその横顔に、不覚にもドキドキしてしまう。
まともに話すこともできず
ワタシはただただ、スカートの裾を握ってうつむいていた。