トーキョークラブ
高校時代、すでにギターの上手さで有名だった潤に誘われて始まった、THE EIGHTYs。
潤のギターと、洋平の歌声、夕貴のドラムが好きだからあたしはここまで一緒にやって来れた。
もし、潤がメジャーに行くことを決意するとしても、あたしはこのワンマンツアーというチャンスを逃したくはない。
このツアーが成功したら
潤だけじゃなくて、THE EIGHTYsが認められるかもしれない。
潤の気持ちも、変われば……。
「分かった。俺は、響子の気持ちを尊重するよ」
潤が静かに息を吐いて
あたしにそっと目を合わせた。
「ツアーだってチャンスだから、棒に振るような真似はできないよ。俺はこのツアー、本気でやらせてもらう」
潤の言葉に
あたしは可能性を感じた。
しかし、無言でスタジオを出て行ってしまった洋平をあたしはどうすることもできず、不安だけが抱かれた。