トーキョークラブ
望美は、数種類の錠剤を次々と容器から出し、テーブルいっぱいに広げ始めた。
「本当は3歳で死ぬはずだった。だけど、17歳になっても生きてる。それでも病気は完治してなくて、いつ発作が起きるか分からない」
「発作……?」
「うん。だからこの薬が必要。だけどもううんざり。お母さんと美希の稼ぎを奪って、アタシは治りもしない病気のために薬を飲んでるの。馬鹿馬鹿しいでしょ?」
望美は自身を嘲笑い、たくさんの薬を手のひらに握った。
「望美?」
望美は部屋の窓を開けると、ためらいもなく突然、その薬を投げ捨てた。
「おい、何やってんだよ!それ全部捨てたらお前……」
「いいのよ、アタシなんか死んじゃえばいいの。お母さんも美希も、それを望んでる。言ってたでしょ?死ねばいいって」
望美の言葉に、オレは息を飲んだ。
否定すればいいのに
何も言えない自分がいた。
「……やっぱり、ね。」