トーキョークラブ
涙を目に浮かべていた
まだ幼くも見える望美を、オレはゆっくりと抱き寄せた。
細く小さな体を震わせる望美を、オレは初めて“愛しい”と感じた。
「望美、オレと一緒に住もう」
「リョウ…?」
「一緒に帰ろう」
オレの腕の中の小さな望美は、涙を一筋流してオレを見つめる。
そして、微笑みながらうなずいた。
オレはいつの間にか
望美のことを放っておけなくなっていた。
それは出会ってすぐに感じたものなのかもしれない。
望美は強気でいたが、本当は誰よりも弱くて、誰よりも生きることに不安を抱えている。
母親や美希から自立したいと思うその陰には、望美の寂しさがあると思った。
コンプレックスを抱えて
生きている望美を、オレは支えたいと思った。
これは初めての恋かもしれない。
本気の、恋。