蜘蛛ノ糸

授業中にペン先で腕をつついてみるけれど、彼は鬱陶しそうに一瞥しただけで何も言ってくれない。

2、3度繰り返したら、もう何の反応もしてこなくなった。

やっぱり、おかしな事を言う私の事が面倒だと感じているのだろう。





*4*



昼休みになって、教室は騒がしくなる。

それぞれが友達の席の近くや庭園に移動していた。

私も鞄を持って、マキとハルカの所に行った。


「マキ、ハルカ、一緒に食べよ」


そう声をかけたけれど。


「あーっ、あたし財布忘れたんだった! ね、ハルカ、今日だけ奢ってっ?」

「もー、マキってば! ついでにダイエット始めちゃう?」

「実は先週から始めたぁ。市川くん、かなり細い子が好きだって噂聞いたの」

「ホント!? でも市川くんに彼女いたらどうすんの?」

「どうしよー! 気になる!」


私の声が聞こえていなかっただけだろうと、そう思いたかった。


「ねえ、マキ、ハルカ、聞こえてる……?」


完全、無視……


「ていうかマキ、明日どーする?」

「あたしバイトあるんだ。だから夕方行こーよ。市川くんも誘お!」


(人を無視しといて男子の話!?)


「決まり! 何の花買っていこーかなあ。
……あーお腹へったぁ! 購買いこっ!」


話しながら2人は教室を出て行く。


「あ、ねぇ……ハルカ!?」


廊下に出て2人の後ろ姿を見つめた。


「マキ!?」

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