妄想小説(短編)
僕の言ったあとを40代の男性のアニメ
スタッフが引き継ぎ、

ひげ面の彼の方が、今日の会談に至る
経緯を僕に代わって鈴木杏樹さんに
説明してくれている。

それを横で聞きながら、僕はこれから
どう言えば、僕の好感が上がり、鈴木
杏樹さんに僕の提案を受け入れてもら
えるだろうかと頭を回転させていた。

「このたび、シロネコさんが私にオー
 プニングソングを歌ってほしいと
 希望されていると聞いているのです
 が、

 私に、というのは何か特別な理由が
 あるのでしょうか?」

おっと! 杏樹さん、それを僕に聞くの
ですか?

いや、よくぞ聞いてくれました!

「あ、はい、あの~、それについては
 ですね、あ、これを見てください」

僕は持ってきた牛革のブリーフケース
から、ごそごそといくつかの品を取り
出した。



 




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