春うララ
【小春ー25】


スタスタスタ…



オタクは
都内でも一際目立つ
高層ビルの中に
入って行った。



「ちょ!
アイツあんなとこ
受けんの?!

身の程を
知らないっつーか
なんつーか」



「てっきり
フィギア関係の
制作工場に行くのを
予想してただけに、
予想外でしたね」



更には
こんな大手メーカーの
会社とは夢にも思わない



それは
この会社…
『JASS』は
全国的にも有名な
一流企業であるからだ。



「まさかジャスとはね…
世の中ナメてるわね」



「あれ…でも先輩?
何か他の人
ペコペコしてない?」



ビルに入る前に
オタクはその会社から
出てきた社員に
頭を下げられてる。



会話を聞く為に、
2人は近くの木の影に
移動をした。



すると聞こえてきたのは
あのオタクの声。



「……らじゃないか!
それだと先方にどう
言うつもりだ!!」



何か怒ってる風に聞こえた。



いつの間にかメガネは
外してあり、
キリッとした眼光が
目の前のJASSの
ネームプレートをした社員に
鋭く突き刺さっている。



「スミマセン!
『部長』!

今すぐ取りかかります!」



そう言い、
社員はビルに入って行った。



続いてオタクは
強い足取りでビルに
入って行った。




小春達はその会話に
目を丸くしている。




すると近くで
別のJASSの社員が
コソコソと話していた。




「朝からすごいわね~
『原部長』も若いのに
言う事が違うわ~」




「当たり前だろ?
若くして業績をのばし
26にして
『部長』にまでなった
くらいなんだから。
相当なやり手だよ」




そんな会話が聞こえる頃

すでに2人は固まって
いた。




それは仕方ありません。


社会的にも
人間的にも
2人は
負けていたからです。




一瞬
ショックで
今日は臨死体験をした
春とララなのでした
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