今宵…甘ったるい幸福の中で
「はぁ~またフラれんの俺…」

洋介はため息ついた。
雛は何も言えないでいる。

洋介は雛から離れあぐらをかいて俯く。

「携帯貸して…」

洋介が手の平を雛に突き出す。

「え」

雛はわけがわからなかった。

「せっかく再会出来たんだしせめて雛と繋がってたい」

「!」

雛は声を出さずに目を見開いた。

(先輩が初めて名前で読んだ…)

実は付き合っていた時一度も名前で呼ばれた事がなかった。
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