今宵…甘ったるい幸福の中で
雛は少し間を開けて口を開いた。

「先輩はあたしのどこが好きなんですか」

雛の問いに驚く洋介。

「先輩はカッコイイけどあたしは可愛いわけでも綺麗でもない…」

自分の言葉でまた涙する雛。

「ごめん」

いきなり洋介が謝った。

雛は驚いて顔を上げる。

「お前は自分で可愛くないって言うけど…」

そこで少し黙る洋介。

「そんなお前に一目惚れしました」

「え」

「お前気づかなかったよく廊下ですれ違ってたじゃん」

真っ直ぐ前を見つめて洋介は言った。

正直、雛はあまり記憶にない…
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