オレンジジュース[短編集]
*あたしプロデュース
「あたしを…女にして!」
──"あたしプロデュース"
頭を下げたあたしの前にはポカンとした顔で立つ、男が1人。
「っへ?いやー女にしてって急に言われても…意味分かんねぇし」
頭をポリポリかきながら、めんどくさそうにこっちをチラッと見る。
それからふと思い付いたようにニヤリと笑った。
「分かったぜ!つまり…あれか?一夜を一緒に越してくださいってことか?くくっ」
その言葉に、あたしはカッとなって叫んでいた。
「ふざけんなこのハリネズミ頭!つーか下ネタばっか言ってるこんな奴が、なんでモテるのか意味分かんない!絶対どこででも腰振ってんだろあんた!」
その台詞に周りが若干ひいていた。勢いつきすぎて、かなり卑猥な言葉を言ってしまったようだ。
冷静さを取り戻した頃にようやく「あ、ヤバい」と気づいた。
男の顔を見ると──笑ってた。でもそれは殺気が満ち溢れた笑顔。
「うん分かった。ちょっと来てくれる?」
嫌だと首を振ったが、手首をガッシリ掴まれ、ずるずる引きずられていった。