オレンジジュース[短編集]
─ドクン…ドクン…
一体何が起きたんだろ?
部屋のベッドにごろんと横たわり、あたしはボーッとしていた。
憧れの久我くんからのまさかの告白。死ぬほど嬉しい、幻覚のような現実。
─幻のようだから、実感がわかないから、ボーッとしてるの?
でもそれにしてもあたしはおかしい。普通だったらあの時、返事をすぐにでも出していた……はずなのに。
進にも速攻喜びメールを送っているはずなのに。
「進…」
名前を発してみると、自然と下駄箱での光景がよみがえる。
『す…好きです!!』
─ドクンドクンドクン
思わず胸に手を押し当てる。急に早くなる鼓動。誰かに手で心臓握られたような感覚。心臓の辺りが、とてつもなく苦しい。
どうしたんだろうか、あたしの体は。
病気にでもなったのか。
抑えようと、思わずぎゅっと目を瞑った。それでも鼓動は早いまま。
「まずは明日先輩に…返事…しなくちゃ」
そうだそうしよう。他の考えを振り切るように、布団へ潜り込んだ。