オレンジジュース[短編集]


─────…
────────……


「……さ…みさ…美佐!美佐ってば!」

「おわっ!びっくりした~!」

気付いたら授業も終わり、放課後を迎えていた。
目の前にはしかめっ面した由里がいる。

「びっくりしたって…こっちの台詞だよ!朝からずっとボーっとしちゃってさ!どうしたの?元気ないじゃん。いつもの"久我くん~!☆"ていう元気な声はどーしちゃったのよ?」

──ドキン…

久我くんという名前を聞いて心臓が少し跳ねる。思わず昨日された告白が、頭の中にフラッシュバックした。
動揺を隠すように慌てて笑顔を作る。

「いや…うん、大丈夫だよ。ただちょっと寝不足気味なだけ!☆」

にっこり笑うと「それだけ?」と由里は不審そうに聞いてきたが、あたしが笑いながらあったりまえ~!というと、納得して部活へと向かった。
あたしも廊下に出る。

「ふぅ…」
「おい。美佐」

聞き覚えのある声に慌てて振り向くと、そこには進がいた。

「あ…や、やっほ!!」
「おう、なんだお前、そんな引きつった笑顔しちゃってよ(笑)」

くくっと進は笑う。それと同時にまたもや思い出す昨日の告白シーン…。
──どうしたのだろうか?返事は。付き合うのだろうか。
様々な考えが頭の中をぐるぐると巡る。

「あのさ」

はっと前を見ると、いつになく真面目な顔をした進が立っていた。
─ドクンドクンドクン…。

なんでだろう。"あのさ"の言葉の続きが聞きたくない。


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