オレンジジュース[短編集]
手には花柄フリルのワンピース、目の前には厳しい目を向けてくる…相澤進。
「こっ、ここここんな服着れない!着れねえ!着たくねえ似合わねえ!!」
今日は日曜日、あたしと相澤進は大型ショッピングモールの店の一角にいた。
相澤進が、「服の趣味を変えれば、性格にも影響するはずだ」と言ってきたからだ。
「おい…その男口調、やめろって2日前に言ったばっかだろうが。」
すかさず鋭い目であたしを睨んでくる。うぅ…そうだった。
「き…着れない…ですっ」
「はい、合格。じゃあさっさと着てこい」
着れないと言うあたしを無視し、試着室へぐいぐいと押し込む。そしてシャッとカーテンを閉められた。
振り替えると鏡にうつる、自分の手に握られた先程のワンピース。
「ひ…酷すぎる。こんなの着せるだなんて…生殺し…」
半ば涙声になりながら、渋々袖を通した。制服以外のスカートをはいたのは何年ぶりだろうか。最近はいつもジーパンだから、なんだか変な感じ。しかもこのワンピース、なかなかの短さ。
変じゃないだろうか、とか色々考えて鏡をじっと見つめていた。
「着れたか?開けるぞ」
「えっ、ちょっ、待ってっ!」
急に声がして慌てる自分。
が、奴は完全無視。
シャッ!
「っっ!!」
と…とうとう見られてしまった。隠し通せなかった。
進は顎に手をあてながら、あたしを上から下までじーっと見る。
「なんだよ、似合ってんじゃん椎名。」
そう言うと、どこにあったのか、流行りのカンカン帽を被せ、ウエスタンブーツを履かせた。