オレンジジュース[短編集]
「少し休んだらまた始めんぞ」
ゴロンと寝転がる進。
「あ……うん」
またすぐ鬼のように、さっさと始めるぞ!と言うと思っていたから少し驚いた。
振り向いてみると進は空を見つめていた。あたしの視線に気づくとこっちを見た。
「なんだ…いいのか?もう久我を見なくても」
──やっと分かった。あたしが久我くんを見ていたから、邪魔をしないようにしてくれたのだろう。
なんだよ…進めっちゃいいやつ。
「うん。えへへ…」
思わず笑みがこぼれる。
「なんだお前…急にニヤニヤすんなよ、キモいぞ……っておまっ!」
そんな罵声も無視して、あたしは進に飛び付いた。
「進はいいやつだー!親友だ親友!これからは親友!まじよろしくなっ!」
進の後ろから、ぎゅーっと抱き着く。
「ったく…急に抱きつくなよな…」
思わずあたしは男言葉が戻っていたのだが、進は溜め息を付くだけで注意をしなかった。