九十九怪怪
「…しょうがない、僕らの性じゃないか」
先程の片目の少年とは反対の隣の席に座っている縊鬼は頬杖をつきながら言った。
ねぇ、百々目鬼(とどめき)と彼の斜め右前、つまり私の前の人物に問いかけた。
「まぁな」
「…百々目鬼まで」
私は思い切り脱力する。机に上体を突っ伏した。肩を右隣の少年が優しく叩いてくれている。
彼らは皆が皆、我が強く頑固だ。更に自身に自信を持っていて、矜持もある。何を言っても、一を十で返されることは多々。
ここでの、苦労人は私だけ。
個性的、と言えば聞こえが良いだろうか。
もう此処が、普通の学校でないことは明確だろう。
此処は、妖怪達の通う学校なのだ。現代を生きる妖怪達の為の、妖怪達による学校。
現代を巧く生き抜く術を習う場所だ。
そこに私も通っているのだった。