月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
ドリブルで前線に駆け上がったかと思えば、フィールドを切り裂くようなパスを出す。

ディフェンスに回れば確実に攻撃の芽を摘み採り、局面を挽回。

その姿はチーム名にある狩猟の女神・アルテミスそのもの。

翼さんがシュートを決めた時、スタジアムに爆発的な歓声が広がった。

試合は完全に、翼さんが動かしていた。

「まぁ、サッカー上手いのはよくわかるけどな」

それでも達郎兄ちゃんには、翼さんに黄色い声援が送られるのは理解できないようだった。

てか、今やってるのはサッカーじゃなくてフットサルなんだけど。

「宝塚のファン感情と同じものだと思えば?」

「そういやレミも後輩婦警に人気あるな」

いきなり凄いこと思い出すなアンタは。

「ねぇ、達郎兄ちゃん」

あたしは少し意地悪を言ってみたくなった。

「翼さんて、麗美姉ちゃんに似てない?」

「どこが」

即答かよ。

「レミの目はあんなにパッチリしてない」

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