月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
トラブルは目の前に
「おはようございます」

「おはようございます!!」

「おはようございまーす!!」

撮影スタジオに入った途端、いろんな人に声をかけられた。

CM撮影はこのスタジオで行われるが、正直あたしは生きた心地がしなかった。

「なんでカホが緊張するんだよ」

「だってぇ…」

スタジオ内を駆け回るスタッフたち。

普段みることのない撮影機材。

嫌でもここが芸能界だってわかる。

緊張して、当たり前。

平然としてられる達郎兄ちゃんの方がおかしい。

「旭さん、リラックスしてね」

前を歩く翼さんが笑顔で振り向いた。

…あわわ、名前呼ばれちゃったよ、あたし!

あ、いけない!右足と右手が一緒に出てしまった!

横を歩く湯月くんを見ると、真っ青な顔をして、今にも吐きそうになっていた。

「大丈夫か、君?」

杉田さんが心配そうに声をかけている。

こんな調子でボディガードなんてつとまるのだろーか、あたしたち…。

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