月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
「浜口理子って、そんなに有名なのか?」

…。

まーた浮き世離れしたこと言ってるよ、達郎兄ちゃんは。

あたしは浜口理子の歌の題名をいくつか挙げた。

どれもオリコン10位内にランクインしたヒット曲ばかりだ。

「知らんなー」

達郎兄ちゃんは首をかしげた。

「達郎兄ちゃん、音楽に興味ないの?」

「オレ斉藤和義しか聴かないから」

わー渋い。

まー、TV観ないみたいだから、最近のヒット曲にはうといわなー。

「麗美姉ちゃんとそういう話はしないの?」

「レミはドリカムばっか聴いてるからなー」

似た者カップルかい。

そんな話をしている内に、スタジオ内にある、出演者用の楽屋に着いた。

翼さんは主役だけあって、個室があてがわれていた。

杉田さんが扉を開け、部屋を見渡す。

「じゃ月見さん、よろしくお願いします」

「了解です」

達郎兄ちゃんが黒の手袋をはめて楽屋の中へ入った。

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