月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
直撃していたら、翼さんは絶対に助からなかっただろう。

「おい、ワイヤーが切れてる!?」

ライトを見たスタッフの1人が大声をあげた。

「いや、固定用のテープが切れたんだ!」

「なんでそんなもんが切れるんだよ!」

どうやら、あり得ない事が起きたらしい。

「いったいどうなってるんですか!」

杉田さんがそばにいた永岡監督を怒鳴りつけた。

「こないだからこんなことばかりですよ!うちのタレントにもしもの事があったらどうしてくれるんだ!?」

杉田さんは物凄い剣幕で怒鳴り続ける。

永岡監督をはじめとするスタッフは、皆圧倒されていた。

「あんたらじゃ話にならん!プロデューサーはどこですか!」

弱小プロだなんだかんだ言ってても、言うべき時には言う。

スターを守る人は違うなと、変に感心していると

「カホ、ちょっとこい」

達郎兄ちゃんがあたしたちに向かって手招きをした。

「翼さんを楽屋に連れていってくれ」

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