月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
「なんで翼さんが自作自演なんかしなくちゃいけないのよ!」

返答しだいではぶっ飛ばす!

「いや、あの、状況がですね…」

ええい、もどかしい!

「考えられる理由は幾つかある」

うろたえる湯月くんに変わって、達郎兄ちゃんが口を開いた。

「まずひとつめは売名行為。スキャンダラスな話題で名前を売ろうってことだな」

「そんな…」

「でも翼さんはすでに売れているし、杉田さんの態度を見る限り、それは考えにくい」

そうだ。

杉田さんは騒ぎが表沙汰になることを嫌っていたではないか。

「そこで考えられるのは翼さんの限界説」

「限界説?」

なんだそれ?

「それって翼さんが芸能人をやめたがってるってことですか?」

「ちょっとそれ本気で言ってるの?」

あたしは再びToppoを湯月くんに突きつけた。

「仮定ですよ、仮定!」

湯月くんは必死に首を振るが、今のあたしはムシの居所が悪い。

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