月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
「仮に翼さんが、何らかの理由で芸能界から引退したがっていたとする」
Toppoを持つあたしの手を、達郎兄ちゃんがやんわりと押さえた。
「だが翼さんはもう、超のつく人気者だ。周囲はそれを許さないだろう。そう考えた彼女は、自作自演という道を選んだ」
つまり身に危険が迫っていることで、芸能界から身を引くことを周囲に納得させる…。
「そんな…」
あたしは納得がいかなかった。
「むろんこの考えに穴が無いわけじゃない。さっきのライトの細工は、彼女ひとりでは不可能だ」
「それなら…」
「でも協力者がいれば可能ですよね」
「黙って」
あたしが三たびToppoを突き付けると、湯月くんはあわてて口を塞いだ。
「もちろん脅迫事件の可能性もありだ。いずれにせよ、犯人がいるとしたら、現場を押さえるしかない」
達郎兄ちゃんがそう結論づけた時、水島ADがこちらへ走ってきた。
CM撮影再開の知らせだった。
Toppoを持つあたしの手を、達郎兄ちゃんがやんわりと押さえた。
「だが翼さんはもう、超のつく人気者だ。周囲はそれを許さないだろう。そう考えた彼女は、自作自演という道を選んだ」
つまり身に危険が迫っていることで、芸能界から身を引くことを周囲に納得させる…。
「そんな…」
あたしは納得がいかなかった。
「むろんこの考えに穴が無いわけじゃない。さっきのライトの細工は、彼女ひとりでは不可能だ」
「それなら…」
「でも協力者がいれば可能ですよね」
「黙って」
あたしが三たびToppoを突き付けると、湯月くんはあわてて口を塞いだ。
「もちろん脅迫事件の可能性もありだ。いずれにせよ、犯人がいるとしたら、現場を押さえるしかない」
達郎兄ちゃんがそう結論づけた時、水島ADがこちらへ走ってきた。
CM撮影再開の知らせだった。