月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
達郎兄ちゃんが湯月くんを捕まえた時、あたしはその場にいなかった。

その場で2人の間にどんなやりとりが交わされたのかあたしは知らない。

湯月くんに訊いても、青い顔をして首を振るばかりで教えてくれない。

ただ湯月くんの達郎兄ちゃんに対する態度を見る限り、何かあったことは間違ない。

そのうち絶対に突き止めてやろうと、あたしは心に誓った。

立ち話もなんだからと、達郎兄ちゃんはあたしと湯月くんを学校近くの喫茶店へと誘った。

「湯月くんにも話があるの?」

「人数が多いにこしたことはない」

は? 意味がよくわからない。

しかし湯月くんが達郎兄ちゃんの誘いを断るはずもなく、おどおどした様子で、あたしたちの後についてきた。

喫茶店に入り席につく。

あたしはイチゴオレを注文した。

湯月くんはミルクティー、達郎兄ちゃんはココアを頼んだ。

「湯月くんは紅茶党なのか?」

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