月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
「あ、間違えた」

ええええぇーッ!!?

こんな時になにベタなボケかましやがるんだコイツはッ!!?

いや、達郎兄ちゃんも動揺してるのか?

いやいやマイペースな達郎兄ちゃんが…いやでも爆弾相手だしな…。

てかToppoの次はマーブルチョコかい。

そんな風に頭を巡らせているうちに、達郎兄ちゃんはマーブルチョコをしまい、反対側のポケットから小さなルーペを取り出した。

そのルーペを通して爆弾のあちこちを眺める。

その間にも時計はカチコチと時を刻み続けた。

ルーペで眺めていた時間は約一分。

その一分はやたら重くて苦しかった。

「よし」

達郎兄ちゃんは爆弾から顔をあげた。

「何が『よし』なんですか?」

湯月くんの疑問は当然の疑問。

杉田さんや翼さんもうなずいている。

あたしは爆弾をとめられるぞという意味での「よし」と解釈(期待)したのだが、達郎兄ちゃんの答は予想外のものだった。

「この爆弾は偽物だ」
< 59 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop