月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
「ニセモノ?」

「洒落た言い方をするとフェイク」

いや、そういうのいらないから。

「本当にニセモノなんですか?」

杉田さんの言葉に小さくうなずくと、達郎兄ちゃんは再びポケットに手を入れた。

出てきたのはまたもやマーブルチョコ…ではなく小型のドライバー。

なんでそんなもん持ってるんだという疑問をはさむ間もなく、達郎兄ちゃんはそれを使って爆弾を解体しはじめた。

「ほら、赤と青の配線はどこにもつながってない。ダイナマイトも中身はスカスカだ」

「ホントだ」

あたしは達郎兄ちゃんのそばへ行って、解体された爆弾をまじまじと眺めた。

解体された部品の中から、カチコチ鳴り続ける時計を手にとる。

「よく見たらただの目覚し時計だよねコレ」

でも達郎兄ちゃん、なんで時限爆弾が本物かどうかを見極められるんだろ…。

「念のため言っとくが、その目覚し時計自体が爆弾という可能性もある」

「え…」

あたしは時計を持ったまま固まった。

< 60 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop