月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
「犯人って…どうやって捕まえるのよ?」

「方法はある」

「本当ですか!?」

いきり立つ杉田さんを、達郎兄ちゃんは手で制した。

「そのためには準備が必要です。まずは警察へ連絡しましょう」

「警察…ですか」

「兄なら大ごとにせず、上手く立ち回ってくれるように取り計らってくれるはずです。僕からも話しましょう」

「あ、そうですね!」

杉田さんは携帯電話を取り出した。

二人はそろって楽屋の隅へ行き、電話で話し始めた。

主に杉田さんが話し、時おり達郎兄ちゃんに変わるといった感じ。

あたしと湯月くん、翼さんは何となく取り残されていた。

ヒマを持て余して達郎兄ちゃんがバラバラにした爆弾(ニセモノ)をつついたりしていると、やおらすすり泣くような声が聞こえた。

振り返るとそこにいたのは、イスに座り込んだ翼さんだった。

ハンカチで顔全体を覆って、肩を震わせていた。

え、泣いてる…?

「どどどどどうしたんですか、翼さん!?」

< 62 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop