月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
犯人は暴れようとするが全く動けない。

さすが達郎兄ちゃん。

合気道四段というのは、ダテじゃない。

そうこうしているうちにスタジオのガードマンや杉田さんが楽屋に入ってきて、達郎兄ちゃんの代わりに犯人を取り押さえた。

「大丈夫か、カホ」

犯人をそちらに任せて、達郎兄ちゃんが楽屋のロッカーを開けた。

狭いロッカーの中にいたせいで、すっかり汗だくになっていたあたしたちは、ようやく開放された気分になった。

「ねぇ達郎兄ちゃん。他に方法があったんじゃないの?」

爆弾を回収しに来る犯人を、あたしと湯月くんが楽屋ロッカーの中で待ち伏せ。

ロッカーに空いてる穴から楽屋をうかがい、犯人が来たらすぐにワン切りで連絡。

連絡を受けた達郎兄ちゃんらは楽屋へ急行。

そうすれば犯人をはさみ打ちにできるというのが、達郎兄ちゃんの作戦だった。

「だからと言って、あたしと湯月くんが一緒にロッカーに入る理由がわかんないんだけど…」

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