月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
「つまりソイツって単なるスケベ?」

あたしの言葉に、達郎兄ちゃんは苦笑した。

「犯人の部屋からは、翼さんの水着姿の写真が、大量に押収されたそうだからな」

「やっぱスケベじゃん」

自分のお気に入りのタレントが水着姿にならなくなったからって、脅迫状を送りつけたり、爆弾しかけたボール蹴らせようとするなんて、どーいうヤツだ。

水島はアホの2乗だと思ったけど、今度の犯人はアホの100乗決定。

「犯人はたまたまエンゼルスタジアムのスタッフとして働いてたせいで、活動の方向性が変わってゆく翼さんをずっと見ていた。それ故になおさら不満がつのったんだろうな」

うー…。なんかサイコな臭いがプンプンする…。

「『そんなにフットサルが好きなら、俺が奪ってやる…』というのが動機らしい」

「それがあの文面につながるんですね」

湯月くんは身を乗り出した。

脅迫状にあった「お前の翼」とは、翼さんの足のことだったのだ。

< 80 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop