平ちゃんと期間限定なあたし。(先生と王子様と演劇部な私。スピンオフ)
「ファ、ファーストキスかなんて分からないでしょ」


 どんだけ自惚れてるのよ? と笑ってやろうしたけど……。


「違うの?」


 平ちゃん、目が怖いっ。さっきの山田が可哀想に思えてきた。


「ち、違わないけど」


 目を逸らしながら言うと、平ちゃんがあたしの頬を両手で包んだ。


「カオリ、可愛い」


 そして、目元や、おでこや、頬や唇、顔いっぱいにキスを浴びせる。可愛い可愛い、と何度も何度も言いながら。
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