時雨


また、雨だ。


カーテンを開けると、
雫にぬれた窓が
曇った空を
映していた。


最近、雨ばかり
降っている。


小さい頃から
雨が大嫌いだった。


だから、と言う訳では
無いけど、
高校に進学してからは
雨の日は学校に
行かなくなった。



♪〜♪〜♪



From:心弥

06/12 07:12

Sub:無題
――――――――――

今日も休む?




心弥は幼なじみで
毎朝迎えに来てくれる。


だけど、
雨の降っている日は
一緒に行かなかった。




To:心弥

06/12 07:14

Sub: Re:
――――――――――

ごめんね。
今日も休む。




♪〜♪〜♪




From:心弥

06/12 07:15

Sub: Re2:
――――――――――

わかった。
もう4日目。
つまんない。




心弥からの
メールに返事をせず、
ラフな格好に
着替えて、
リビングへ向かった。



リビングに入ると
当たり前の様に
両親の姿は無かった。



−3年前


父が突然、
「出掛けよう」と言った。



その日は
雨が降っていて
断ろうと思っていた。



そんな時、
訳あって離れて暮らす
母から電話が
かかってきた。


母は
「久しぶりに会いたい」
と言った。



父がそれを
断る訳もなく
父は出かける
用意をした。



私は父に
「具合が悪い」と
嘘をついて
家に居ると言った。



その日、父は
帰って来なかった。



次の日、病院と警察から
電話がかかって来た。



指定された
病院まで行くと
父と母が
“永遠"という形で
眠っていた。



それから、私の家には
当たり前の様に
「ただいま」
「おかえり」の
やりとりは無くなった。


中1の梅雨だった。

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