Frozen Love
「えっ……。

もしかして祐一、昨日の放課後、教室にきてくれたの?」


『ああ、行ったよ。

それで全部見たよ。

お前が知らない男と抱き合ってるところも……

結局、みんな裏切るんだな?

お前だけは信じられると思ったのに……

他人を信じようとした俺が馬鹿だったよ』


俺は由綺に背を向けた。


「待って!!

誤解なの!!」


由綺が叫ぶ。



俺は立ち止まった。

由綺に背を向けたまま、振り返らずに言う。


『誤解してるって何を?

俺が昨日見たことは夢なんかじゃない。

紛れもない事実だ。

近寄ってきたと思ったら、俺の心をさんざん引っかき回して離れていく。

裏切るなら……、ずっと傍にいてくれないなら、最初から近寄って来ないでくれよ……』


由綺を残したまま、俺は校庭を後にした。


後に残された花も葉もない桜の木の枝が、ひとり寂しそうに風に吹かれて揺れていた。


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