Frozen Love
後遺症
何時間泣いただろう?
重い腰を上げ、水道に行く。
冷たい水で顔を洗う。
顔のほてりがとれたところで、由綺の病室に向かった。
扉の前に立ち、ノックをすると返事があった。
中に入り、目線を泳がせるとすぐに由綺の姿が見つかった。
目が合う。
『ゆ……』
俺が名前を呼ぼうとしたそのとき、由綺は顔を苦痛に歪め、荒々しく息をし始めた。
慌てて駆け寄って背中をさすろうとする。
けれど由綺は俺の手が触れそうになったとたん、激しくかぶりを振った。
伸ばされた手が行き場をなくし、凍りつく。
「お願い、出てって……。
見られたく、ない……」
涙をこぼし、苦しい息の合間に訴える由綺に逆らうことができない。
『…………』
俺は無言でベッドサイドの棚に由綺のケータイを置き、重たい足を引きずるようにして病室を出た。